「Y2Kって、例のウィルスだろ。」
「そうなんですよ。」
「俺も、パソコンの中身が消えちゃったんだ。」
二千年問題、それに便乗したウィルス、そういったものがはびこる中、山沢のメールボックスはパンク状態だった。ここ一週間、嫌がらせのメール、いわゆる『スパムメール』が沢山送られてきていたのだ。そこで、インターネット会社に設定を頼んで、スパムメールを削除するようにした。これで大丈夫だ。設定できたかな。昨日、メールをチェックしてみた。そこにはメールの山はなく、二通のメールだけがあった。
あ、メールの設定が出来たんだな。ほっと一息。改めてメールの題名を見る。一通は
『スパムメール拒否の設定について』
インターネット会社から、設定しましたというお知らせだった。もう一通は
『愛してます』
「何だ、愛してるって。」
そんなメール送ってくるのって誰だよ。
「あ、やべえ。これ、ウィルスじゃん。」
慌ててそのメールを削除した。
次の日、パソコンを立ち上げると、ピーとエラー音。どうしたんだ。調べてみると、ハードディスクの中身が全て消えていた。アチャー、昨日のウィルスだ。幸い、二千年問題対策でバックアップを取っておいたので、元に戻すことが出来たのだったが。
「Y2Kはウィルスだけじゃなくて、ハッカーもやってるみたいなんですよ。」
だんご3兄弟のホームページもボロボロに荒らされていたらしい。
「ありがとう。また連絡するよ。」
山沢は電話を切った。
ちくしょう、Y2Kの野郎。山沢はクローバー電器へ電話する。
「おい、山ちゃん、ウィルス送ってくるなよ。」
「え、すぐに削除したんですけど。」
「そうかよ。こっちはウィルスバスター使ってたから、平気だったけどな。」
例の『愛してます』は、知らない間に増殖して、勝手にあちこちに送られてしまったようだ。
「何か分かったら電話くれよ。」
「はい、どうもすみません。」
クローバー電器との電話が終わると、すぐに携帯がピピッと鳴る。あ、ショートメールだ。
『もうやめろ。手を引け。』
犯人からのメールか。早速、野馬に電話する。
「山沢さん、『愛してます』で大変だったらしいですね。」
「何で知ってるの。」
「俺の所にもメール来ましたよ。」
「それは申し訳ない。」
「俺のは携帯だから、ウィルスは平気でした。」
「そうか。」
「愛してますって、どこの女かと思いました。」
野馬との電話を切ると、すかさず電話が鳴る。
「はい、山沢です。」
「………。」
「もしもし、誰ですか。」
ガチャン。そして電話は切れる。
「何だ、無言かよ。」
携帯には再びショートメールが入る。
『のうま君、愛してる。』
おいおい、さっきの電話の内容か。今度は携帯が鳴る。川下からだ。
「今、Eメール来たんですけど。」
「何の話ですか。」
「メールに書いてあったんですけど、信濃君と、野馬君と電話したんですか。あと、クローバー電器と。その後、無言電話ですか。」
「もしもし、それ、そうだけど、何、一体。」
山沢が信濃、クローバー電器、野馬と電話していたことを知っているのは野馬だけ。その後の無言電話とショートメール、そして川下へのEメールが野馬からなら、単なるいたずらだろう。しかし、もし違ったなら、山沢の行動が見張られているのだろうか。川下が突然
「盗聴じゃないですか。」
「え、盗聴?」
盗聴、ハッカー、インターネット、山沢の頭の中を色々な言葉が駆けめぐった。
「だって、野馬君、パソコンないでしょ。」
「携帯からもメールは送れるんじゃない。」
「メールの発信元が、携帯じゃなくて…。」
「悪いけど、そのメール、転送して下さい。」
どうも、ハッカーのオタク野郎につけ回されているようだ。盗聴されてるみたいだし。
盗聴といえば、元探偵のクローバー電器だ。電話するとこれも盗聴されるから、クローバー電器へは連絡もせずに行った。
「これが、盗聴器発見器だ。」
「あ、これ、テレビで見たことあります。」
「そうよ、俺が作ってるんだから。」
クローバー電器では探偵や警察の依頼を受けて、そんなものまで作っているのだ。
「じゃ、調べてみよう。」
山沢の家に行き、発見器のスイッチを入れる。部屋に入るとメーターの振れが大きい。
「ちょっと聴いてみな。」
レシーバーに付いたイヤホンを渡される。
「どうだ、山ちゃん。」
イヤホンからも、同じ声が聞こえてくる。まさしく盗聴器だ。盗聴されていた事実が分かり、思わず緊張する。山沢が何か言おうとすると、クローバー電器の社長は人差し指を口の前に当て、黙って、の仕草。しばらくして、盗聴器発見。
「よし。」
社長は二股コンセントを差し込みから引き抜いた。
「ほら、聞こえなくなっただろ。」
「あ、本当。」
こんなコンセントの中に盗聴器が入っているのか。
「ところで、この二股、どうしたのよ。」
誰かが忍び込んで取り付けた様子はない。
「これ、この間、何かと一緒に買ったやつだ。」
「どこで買ってきた?」
「あ、あれだ。充電器。」
つづく (C)二〇〇〇 星 期一
え、お願いっておい、ひょっとして?
今夜は一緒にいてとかそういうことかい。
鏡がなくてもニヤけたのがわかる顔をあわてて修正し、
「聞いてやってもいいが...」
ふ、ばかな女。ようやくおれの魅力に気づいたか。今ごろ気づくなんざ遅すぎるぜ。ま、おれの魅力に気づいたんだ。多少はサービスしてやるか。(0.1秒)←おれは村上直樹かー!
「サラ、ここじゃなんだし、店がおわったあとにでも...」
「ありがと。うれしい」
おれも罪な男だな。
しかたねえか、カメラマンというのは、どこへいってもモテモテだからな。
「車で待ってるぜ。青いインプレッサだ」
「お待たせしちゃってごめんなさい酔っ払いが多くって」
おお、いいねえ。仕事に疲れた女。思わずこのままシーと倒して襲いたくなっちまうぜ。レカロのばかやろう。こんなバケットシートじゃ何もできねーじゃんか。(0.02秒)←しつこいぞ。
「あの、悪いんだけど、私の家にきてほしいの」
きたぞきたぞ。リーチ一発、さすがおれ。
車を飛ばし、一路サラの家へ。大通りから2本ほど入ったところにサラのアパートはあった。
「そこにかけてて。すぐに準備するから」
おいおい、いきなり積極的じゃねえか。おれもファスナーおろしてスタンバイしておいたほうがいいのか。いやいやまてよ。こういう女は、ファスナーおろすことで感じることもあるかもしれんぞ。ここは静かに待つべきだ。
「ねえ、来てくださらない?」
お、さっそく来たぜ。
「この前、インターネットしたいから買っちゃったの。マックの最新モデル。あなた、フォトグラファーだからマックは強いわね」
部屋の中央には、おれの天敵、パソコンが鎮座していた。
「二日前から動かなくなっちゃって...いろいろ試したり、説明書のよう
な厚い本も読んだりしたけど私じゃよくわからなくて」
ふりーず
俺は固まってしまい、思考が一分ほど止まってしまった。
翌日、俺は、泣く泣く助手のルイスを連れてもう一度サラのアパートへ向かった。鼻歌気分で助手席に座るルイスを、フルカウンター当てて振り落としたい衝動にかられる。
「すごい。ルイスさんてなんでもできちゃうのね。今度私の部屋のセキュリティシステムを作るとき呼んじゃおうかしら」
こら、ルイス。サラはおれが先に狙いをつけていたんだぜ。勝ち誇ったウインクなんかすんじゃねー。
職権で彼をクビにすると困るのはおれだったりするから始末が悪い。英語でコミュニケーションが取れて、カメラの技術もある人間を探すのは難しい。どちらかだけなら何とか見つかるのだが、フランス語圏だけにしかたあるまい。
翌週、おれの携帯電話に、日本の出版社から電話がかかってきた。
「有名カメラマンたちが作るCGの世界という特集を企画しているんですけど、お話を受けてもらえませんか。先日パソコンで送られた写真は、編集部でも評判でして、はい。できれば、アフリカを題材にお願いしたいと...」
おれは、電波の調子が悪いとウソをつき、電話を切った。
(つづく)
FPの皆様GWは如何お過ごしでしたでしょうか?私の方は仕事をまた失業というより契約が3月で解除になり6月よりまたIT関連企業に就職となりました。今度は教育機関という事で周囲からは今度は学校の先生ですかと言われています、昨今の就職難はこの業界には不在といわれていましたが、最近ではWebコンテンツ系のプログラマの需要が増えているようです。
最近、自分で制作していた某アーティストのHPを閉鎖しました。理由は商業ベースでコンテンツを進めるという、WEB上での著作権や制作に関する考えが未だ日本では企業から情報発信するというインターネットの本来の表現目的が理解されていないという事みたいです。
そもそも著作権とは本人が作品を公開するために設けられた制度であり、不法コピーを抑止させできれば問題のない制度だと「日本音楽協会」から説明を受けましたが、私が住んでいる「平塚の情報システム」「湘南SCN」は本人の許可と日本音楽協会の見解を理解するまでもなく違法と判断したそうです。ですがSCNの掲示板には平塚市が青少年に悪影響がでるというバンドの掲載や電子透かし技術を使用した本人所属事務所のMP3が違法だと主張されてしまいました。そもそもMP3は「オーディオ国際基準」技術音声圧縮技術なのですがどこが違法なのかこの都市のマルチメディア及び回線システムの市民に対する考え方が理解できません。
とこんな質問をしたところ最近ではケーブルテレビの在り方自体が市民によく理解されないまま導入されトラブルがSCN掲示板サポートによせられているそうです。一体、この回線は何処に繋がっているのか?「ODN」が最終経路らしいですが市内では警察及び諸官庁にて繋がっているそうです。
是非このコラムをご覧になって疑問の方は「情報公開」を求めてはいかがでしょうか?