2000年6月号


<意味なし相談室> <メビウスの輪> <サイバー難民> <コラムな人>

意味なし相談室 新連載

○質問○
戦車の運転手をしています。毎日同じ道ばかり走るのは飽きてきました。
特技を生かして転職しようかどうか迷っています。
今の職場でもう少しキャリアを積んでから他社に移ったほうがいいでしょうか

朝霞市  PNタンクドライバー

○回答○
この業界、世界的に見ると職は段々なくなってきます。特技が生かせる職場が少ないのが事実です。
キャリアアップを考えているなら、次の資格も取っておいた方がいいでしょう。
・猟銃免許:射撃は合法的にやりましょう。
・公認会計士:原価計算に詳しくないと、
 水増し請求に対応できません。

回答者  戦国自閉隊 隊長

○質問○
警視総監をしています。
近ごろ、私のデスクの引き出しから大量の図書券が盗まれました。
私立探偵を雇って犯人を突き止めようと思っています。
いい探偵がいたら紹介してもらえませんか

千代田区 匿名希望

○回答○
それは「象の鼻」に盗聴されているからです。クローバー電器の社長に頼んではいかがでしょうか。
それよりも、山沢正司の死について、もっときちんと捜査して下さい。
このさき、どういう風に落ちを付けたらいいのか、困ってしまうではないですか。

回答者  メビウスの輪 作者
 

メビウスの輪 星期一
第9回 例の車

 盗聴電波は二股コンセントから出ていた。そのコンセントの入手経路を調べれば、犯人は分かる。
「何だ、その充電器って。」
山沢はインターネットの個人売買で携帯電話の充電器を買っていた。送られてきた荷物の中に、そのコンセントも一緒に入っていたのだ。
「メールアドレスは。」
急いでパソコンを立ち上げる。だんご3兄弟から転送してもらったメールのアドレス、充電器を買った相手のメールアドレス、同一ではなかったが、同じインターネット会社のもの。こいつが犯人か。
「そのだんご何とか、パソコン詳しいのか。」
だんご3兄弟はホームページは作っているものの、ハッカーをやるほどパソコンに詳しくはない。
「だんご3兄弟は、普通ですよ。」
「そうか。」
パソコンを立ち上げたので、メールをチェックする。お、何か来ているぞ。
『ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。愛してますメールは、フィリピンの学生が送ったI LOVE YOUのパクリです。真犯人は別にいます。私は便乗犯なので、殺される前に手を引きます。』
「これ、QUIZかよ。」
差出人のアドレスは、充電器を買った奴だ。盗聴器を仕掛けたのはこいつに間違いない。もう一通はだんご3兄弟からだ。
『真犯人が警視庁のサイバー刑事に捕まりました。詳しくは以下のURLを見て下さい。』

 各省庁やインターネットプロバイダのホームページを改竄したり、ウィルスを送りつけていた十七歳の少年が逮捕された。警察の調べに対し少年は、警視庁のコンピュータに進入してみたかったと答えている。

 ネットストーカーやY2K、ハッカー、色々あったけど、結局、正司の死とは全く関係なかった。盗聴器を仕掛けた奴も、単なる便乗犯だった。
「また、振り出しに戻りましたね。」
「振り出しも何も、ハッカーだか何だか。」
 クローバー電器の社長が帰ってしばらくすると、山沢の携帯が鳴る。番号表示がない。
「はい、山沢です。」
「また、振り出しに戻りましたね。」
山沢が話していたのと同じ言葉だ。
「もしもし、どなたですか。」
「いい加減、手を引きなよ。」
「一体、何ですか。」
「盗聴器は他にも仕掛けてある。ご忠告だ。」
ガチャッ。電話は切れた。
 一体、盗聴器を何個仕掛けているのか。こんな高度な技術を持っているということは、組織的犯行ではないのか。コスモスペースと象の鼻、やはり怪しいのはこの二つだ。どっちだろう。両方だ。
 盗聴されていることを警察に届けようとする。しかし、被害がないと取り合ってもらえない。お前、人が死んでからじゃ遅いんだぞ。それどころか、正司だって殺されたのかも知れないし。
 警察からの帰り、駅前を通ると声をかけられた。
「すみません。」
何かの署名のようだ。
「はあ。」
「難民を救うための署名なんですが。」
署名用紙を見ると、取り扱い団体名が『菜の花の会』となっている。こいつはコスモスペースが関係してるヤバイ団体じゃんか。
「あ、お断りします。」
既に象の鼻と関わっているんだ。これ以上怪しい奴らと関わってられるか。
「難民を救ってあげたいと思わないんですか。」
何て言いぐさだ、救ってやるなんて。
「あなた方が集めた募金、どこへ行くかご存じなんですか。」
「平和のために使われるんですよ。」
「平和って、ミイラになることなんですか。」
山沢が相手としばらくやり合っていると、その仲間が一人現れた。
「行きましょう。」
仲間は山沢と話していた奴を連れていこうとする。山沢と話していた奴は、まだ何か言いたそうだ。
「お前なんか死んじまえ。」
結局、捨て台詞を残して行ってしまった。平和ってのは、やはり死んでミイラになることらしい。
 家に帰り着くと、マンションのすぐ前に車が停めてある。邪魔だなあと思いながら、マンションへ入っていく。
 次の日、山沢が仕事から帰ると、同じ車がまた近くに停めてある。どこの家の奴だよ、ここに停めてるの。車の中を覗くと、シートを倒して人が寝そべっている。何だ、いちゃつきやがって。こんな所でやらないで、公園でもホテルでも行ってくれよ。
 それから毎日、その車は来た。会社に行く時にはいなくなっている。夜中に部屋の電気をつけると、慌てて逃げていくようでもある。
 会社からの帰り、本屋へ寄る。買い物を済ませて外へ出ると、駐車場には山沢のマンションの前にいつも停まっている車。あれ、こいつ、いつもの車か。ナンバーを見ると、やはりそうである。まさか。無言電話、迷惑メール、全くなくなった。盗聴器が仕掛けてあるといいながら、的は何も言ってこないが。ひょっとして、山沢のことを監視しているのか。だとすれば、近くに来て、盗聴電波を受信しているのに違いない。
 マンションに戻ると、例の車は停まっていない。ところが、部屋に戻ってカーテンの陰から外を見ていると、案の定、例の車はやってきた。山沢は野馬に電話する。
「もしもし、野馬君。」
「あ、山沢さん。今晩は。」
「明日、こっそり象の鼻に行って来るから。」
「山沢さん、気を付けて下さいね。」
 盗聴器を発見した場合、盗聴がばれたことを盗聴している相手に悟られてはいけない。そして、全く気づかぬ振りをしながらでたらめの情報を流すという手もある。山沢は裏をかくつもりなのか。
   つづく    (C)二〇〇〇 星 期一
 
 
 
 

サイバー難民 紀 飛湯麿
第4回

 早いものでアフリカにきて、100日。
 ここでの生活も、ようやく自分のペースがつかめてきた。
 パソコンがついて離れない生活に嫌気がさし、日本を飛び出したわけだが、どうやらすべてが自分の思惑どおりに進むわけではないということを学習した。
 アフリカの、そこそこそこの文明度の都市なら、生活に不便することなく、しかしパソコンをあまり使わない生活ができるのではないかと思っていた。
現実は、そうともいえない状況が続いている。

 パソコンを使わずに仕事ができるはずのカメラマンでさえ、写真の送信や、打ち合わせでパソコンを使う機会が増えている。
 モデルによっては、eメールによってやりとりしなければいけないときもある。
 今のところは、助手にそういうことを頼んでいるが、いずれ自分でやらなければ時代に取り残されてしまうだろうし、ここも日本みたいにコンピュータが席巻する日が来るかもしれない。
 ネガのチェックをしていたら、電話が鳴った。
 ルイスからだ。
「今日は休みだぜ」
 どうせサラとのノロケ話だろう。ぶっきらぼうに応える
「今、サラといるんだ」
 ほら、きた。
「彼女の友達がな、みんなでカジノに行かないかと誘っているんだが、よかったら一緒にどうだい?」
お、こいつもたまにはいいことするじゃんか。ようやく誰が雇い主かわかってきたようだな。
 内心喜びながら、もったいつけて返事をする。
「それじゃ、9:00に、いつも打ち合わせで使っているカフェで」

 ブラックジャックは、客のほうが勝つ確率の高い数少ないゲームだ。もちろんプロならではの技を使ったらという話だ。
 ブラックジャックは、3セットのカードを使って行われる。そして一度ゲームに出現したカードは、すべて使い終わるまで、素人の遊びと違い再度山に混ぜられることがない。
 そこに勝てる要素があり、プロ対ハウスの戦いのポイントになっている。
 プレイヤーがその技を使っているのがバレたら、そのテーブルから追い出されるので、慎重にやらないといけない。とはいってもパチンコの体感機と同じで、かなり勉強しないと使えないし、ハウスのレベルが低ければ気づかれない。

 はじめは、せこく2ドルずつ賭ける。場の空気を読まずに大勝負をするのは、無謀というもので、決して男らしいということとは違う。ただし、プロということを悟られてはマズいので、勝った次のゲームは、10ドルなどメリハリをつけ、素人っぽさを出すことも忘れない。
「もうかってるか?」
ルイスがカジノチップをちくわにして持ってきた。
 みりゃわかんだろ。まだおためし中なんだよ。
「隣で彼女が退屈してるぜ。よかったらおれがめんどうみようか?」
 タイミング良くサラがルイスの靴に体重をかける。

 少しずつレートを上げていく。
 隣のケリーも、おれを見る目が変わっていくのがわかる。
 うまくいけば今夜は...と、期待を持たせる展開だ。
「次のゲームで、今夜のおれたちの行方を考えないか?」
 機は熟した。
 展開的にまず負けない自信がある。ケリーが微笑んだことを確認して大口チップを差し出す。ディーラーの表情が一瞬変わった。
 気づかれたか?いかさまではないからいいじゃないか。というのはおれの主張だが、カジノ側にとっては、必勝法を使われてはたまらない。

「ミスターに今宵のスペシャルラックを」
 ディーラーが小気味よくカードを配る

 (つづく)
 

コラムな人 シャレット

 梅雨前線も接近してくる季節となりました。
季節の変わり目体調を崩しやすい季節ですがFPの皆さんと交流が図れるFPの発行が毎月の楽しみです、ところで先月から地元平塚での「湘南ケーブルネットワーク」ですが、先日「日本ケーブル協会」の天下り汚職事件が発覚しました、本来なら現在日本はインターネットを国民・市民レベルで官民一体となって日本経済再生の再興を考えねば成らぬと時に何をしているのかって思いますけど。
 日本は特にIT(情報処理技術者)の不足が声高に叫ばれる中地方自治体レベルでは勝手に試験運用さえ確立していない通信業者を民間・公共期間・教育機関へケーブル回線を導入しています、これが行政レベルでの安全性の高い導入ならまだしも何処に繋がっているかも情報開示しなければ市民に何ら説明もしない平塚市の行政体質と言い訳(外部)には繋いでいないがインターネットはできる?
不思議なネットワークです、外部と内部の回線が別れているなら何故同じ拠点で管理しているのか?その上ネットワーク機器についても一般では使用されないような機器を標準使用していて加入トータルコストはISDNでのテレホーダイ加入とそんなに変わらないし
近い将来「IP接続」加入限定なら現在、政令指定都市(横浜・藤沢・・)などで実験している「ADSL回線」のほうが安くて速いらしい。第一に二次回線としての認可しか下りていないケーブル業者がどうして平塚市の公用回線として使用されるのか?全く不思議だし私が加入しているプロバイダも情報通信法とかいう適用範囲でケーブルとの接続状況を調査し適切な処置を加入者に呼びかけるらしい。つい最近ではチェーン・メール騒動を起こしたり、その他トラブルがあっても内容を市民にも加入者にも明確に提示していないようです。これからのプロバイダはきちっとしたサポート員を配置して市民が安心して使用できる事が第一前提じゃないでしょうか?

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